それに、トラックはいつも傾いていた。
道路に掘りこまれた幅三寸深さ一尺位の馬車の轍に、片方の車輪をはめこんで走っていたからです。
乗合は遠野まで50銭。
歩いて三時間の道のりが三分の一以下になるとはいえ、米一升が25銭の時代だから、ずいぶん高かったんですね。
それでも中古トラックが見えると、つい『乗せてくれえ!』と言ってしまう。
すると『こんでらあ』と答える。
『外でもいいからあ』といってドアの下の踏み台にとっつく。
それでも料金はやっぱり50銭でした」
やがて昭和元年には、川井村出身の前川さんが遠野・宮古間に定期貨物輸送の路線を開設、翌2年には同じ路線に定期乗合自動車を走らせる。
更にその前後、個人の貨物輸送やタクシーを開業している。