2011年6月アーカイブ

私が他人の運転する中古トラックに乗ったとき、何に注目するかといえば、その人がいかにクルマをスムーズに走らせているかです。

うまいドライバーは、ハンドルを切るにしろ、ブレーキを踏むにしろ、あるいはアクセルの踏み方一つとってみても、実にスムーズに行なっています。

だから、隣りに乗っていても恐怖感を感じることはまったくありません。

リラックスしてシートに座っているだけで、いつのまにか目的地に着いてしまいます。

私は仕事柄、超一流のレーシングドライバーの横に乗ってサーキットを走るチャンスがありますが、彼らの運転は想像以上にスムーズです。

あまりにもスムーズにクルマが動くため、恐怖感を感じるどころか、スピード感さえありません。

しかし、タイムを計ってみると、これが猛烈に速いのです。

このように、スピードの速い遅いにかかわらず、運転のうまい人は「つねにスムーズさを失わない」という特徴を持っています。

下手なドライバーだとそうはいきません。

それほど飛ばしているわけでもないのに、ハンドルを切るたびに体は左右に揺さぶられ、ブレーキを踏むたび、アクセルを踏むたびに、つんのめったりのけぞったり......。

これでは同乗者がリラックスできるわけがありません。

長距離耐久ラリーでは、多くの年配ドライバーが活躍しています。

F1のように、短時間で勝負がつくレースは若いドライバーにはかないませんが、一ヵ月間で何万キロにもおよぶ道程を走るという長距離耐久ラリーの場合、年配のドライバーが上位を占めるのは、それほど珍しいことではありません。

その理由は簡単。

年配ドライバーのほうが、豊富な経験に裏打ちされたムダのない走りをするからです。

ムダのない走りはドライバーの疲労度を減らすだけでなく、クルマにかかる負担を減らすことにもつながります。

さらに精神的な余裕を持って走っていると、周囲の状況や路面がよく見えますから、コースを間違えたり脱出が困難な轍にはまったりする確率が大幅に減るのです。

まさに、経験の積み重ねが勝負を決めるといっていいでしょう。

そして、ラリーも日常的な運転も、「何が起こるかわからない状況のなかで中古車トラックを動かす」という点ではまったく同じです。